紫影のソナーニル Refrain -What a beautiful memories-


ジャンルスチームパンク・アンダーグラウンド・ゴシックADV
対応機種Xbox 360 / PS Vita , Vita TV / PSP
メーカーライアーソフト 株式会社ビジネスパートナー
発売日2014年2月27日
ダウンロード版入手先Xbox.com SENオンラインストア

アクセシビリティ情報簡易表記

  1. 主人公、一部モノローグフルボイス
  2. カーソル移動音あり
  3. 視力を用いない状態でのクリア、追加シナリオ含めた読了が可能
  4. Xbox 360版においては全ての実績を解除可能*1
  5. Windows10に標準搭載されるXboxアプリより、本作Xbox 360版で取得した実績を視力を用いずに把握可能*2


概要

『紫影のソナーニル Refrain -What a beautiful memories-』とは、表示される文章を読み、物語を先へと読み進める形式のテキストアドベンチャーゲームである。

作中、演出としてふんだんなボイスが実装されており、システムサウンドの充実から操作に対するフィードバックが豊富であることと合わせ、結果視力を用いずプレイ可能となったタイトルである。

本項ではその詳細について記す。

1907年、突如5年前に生じた厄災で廃墟となったニューヨークへ、思い人アラン・エイクリーの奇跡を辿るべく訪れた主人公、エリシア・ウェントワースの旅路が描かれる。


ストーリー

20世紀初頭、西暦1907年。

私たちの知るものとは異なる時代、私たちの知るものとは異なる歴史を歩んだそこには、無数の蒸気機関が充ちていた。

異常発達した蒸気文明が生み出す排煙は見る間に天を埋め尽くし、人々から青空を奪い去った。

中でも、最も空が暗いとされる場所があった。

永劫に続く灰色雲と雨に覆われた廃墟、旧・重機関都市ニューヨーク。

5年前に発生した《大消失》と呼ばれる原因不明の災害によって全土が廃墟と化したかつての摩天楼、合衆国政府によって完全封鎖され、現在では人影のひとつもないその都市へと、ひとりの女・エリシアが足を踏み入れる。

ひとつの目的を持って。

災害の中心地とされる旧マンハッタンへと向かって、女は静かに歩み始める。

一方で──

旧・重機関都市ニューヨークの“地下”とされる場所があった。

地上の誰ひとりとして、その存在を知る者はいない。

薄暗い紫の灯りに照らされる広大な地下空間。

そこには、5年前に消失した摩天楼の街並みが存在していた。

ただし、大いなる歪みを伴って。

異形へと歪み、黒色と紫影に染められた、出口のないその地下世界《アンダーグラウンド・ニューヨーク》には、消え去ったはずの人々が確かに存在していた。

7体の《御使い》と呼ばれる怪物の足音に怯えながら。

7体の《御使い》と呼ばれる怪物がもたらす恐怖と苦痛と死に耐えながら。

人々は、歪みの地下都市の中で、何かを待ち続けるかのように留まり続けていた。

そこへ、ひとりの少女・リリィが足を踏み入れる。

記憶の一切を持たずに。

リリィにとって、わかっていることはひとつだけ。

理由はわからない。何があるのか、誰がいるのか。なぜ、そう自分が思うのかも。

それでも、たったひとつだけ。

「マンハッタン。紫色の空の果て」

「あそこに。あたしは、いいえ、あたしだけは、行かないといけない」

──少女は目指す。遙か彼方の紫影の塔を。

──想い遺した人々の儚い影に、触れ続けながら。

涙を、我知らず流しながら。

※紫影のソナーニル公式サイト内 ストーリーページより


豊富なボイス演出

本作で特筆されるのは、地の文やモノローグを含め豊富に実装されたボイス演出である。

物語は地上を歩くエリシア・ウェントワース、地下を旅するリリィ・ザ・ストレンジャーと、2人の主人公の視点が交互に描かれるのであるが、地上パートは台詞に加え、モノローグ、地の文が全てボイスで読み上げられる、類例の希少な仕様が実装されている。

この地上パートは形容でなく全ての文章を視力を用いずに読解可能。

一方、地下パートでは6割ほどのモノローグと地の文へボイスが実装されており、その音声のみを頼りにプレイした場合、ステレオかつ豊富に演出された効果音と合わせて内容の理解に不自由ない量の情報が把握可能である。

以上から、双方合わせ本作アドベンチャーゲームパートでは視力を用いずプレイした際不便のない演出が実現されているといえる。


視覚補助情報

本作は、以下の情報を用いることで、エンディング、追加シナリオを含め、視力を用いず最後までのプレイが可能。*3

以下、PSP版を基本にUIの構造を記す。(Xbox 360版は適宜追記)


初回起動

システムデータの作成を問われるので、そのまま丸を2回押すことでデータ作成となる。 *4


オープニングムービーからタイトル画面へ

ソフト起動後、オープニングムービーの再生後、マイナーコードのジャジーなBGMが流れる場面となったらそこがタイトル画面となる。

このオープニングムービーはスタートボタン、もしくは罰ボタン(Xbox 360版ではBボタン)でスキップ可能。


タイトル画面からタイトルメニューへ

タイトル画面で丸ボタンを押すことで、ページをめくるSEと共にシステムデータのロードが発生する。

  • PSP版は自動でタイトルメニューへ移動
  • Xbox 360版はシステムデータのロード先をローカルHDD、USBストレージ、クラウドストレージのいずれかから選ぶ

タイトルメニューは、縦3行、横2列の構造で、1行1列目が初期カーソル位置となる。上下左右循環あり。 内容は以下の通り。


はじめから (カーソル初期位置)つづきから
コンフィグおまけ
インストール (PSP版のみ)EXシナリオ (本編クリア後に出現)

一例に「つづきから」よりロード画面を表示する場合、右 丸 と操作する。


PSP版インストール方法

タイトル画面からのインストール操作はPSP版のみの仕様となる。*5

特にプレイするバージョンがUMD版である場合、スムーズな演出と快適な動作が実現されるためメモリースティックへ空き容量がある場合は実施を推奨。

以下、PSP版インストールの実施手順を記す。

  1. タイトル画面へ到達後、 上 丸 で実行。
  2. インストールに関する説明ダイアログが表示されるので再度丸ボタンを押す。
  3. PSPシステムソフトウェア標準のダイアログが出現、インストールの実行可否を問われるので、選択肢左側の「はい」を実行。
  4. 十数分待つ。(罰ボタンを押して左右へ動ける項目が出る場合はインストールの終了可否を問う画面が出現しており、即ちインストールが継続中となる。再度罰ボタンを押すことでインストールを再開可能。)
  5. インストール開始より十数分後、インストール完了を示すダイアログがPSPシステムソフトウェアのUIで表示される*6。この状態で罰ボタンを押すことでダイアログが閉じられる。
  6. インストールデータの利用が可能となった旨がゲームソフト側のダイアログで表示される。ここで丸ボタンを押し、左右に動ける状態となった箇所がタイトル画面となる。以上でインストール作業が終了となる。 *7

ゲームプレイ中の操作

  1. スタートボタン = オートモード On/Off切り替え
  2. 四角ボタン Xbox 360ではXボタン = メニュー表示。
  3. 方向キー = 選択肢、メニュー内の移動
  4. 丸ボタン(Xbox 360版ではBボタン) = 選択中項目の実行
  5. 三角ボタン(Xbox 360ではYボタン) = ログの表示 (台詞の聞き直しなどへ利用)*8

ゲーム中メニュー画面の構造

ゲーム中四角ボタンでアクセス可能。*9

本メニューは項目が左右に並ぶ構造であり、カーソル移動音あり、カーソル循環有りの仕様である。。

内容は下表の通り。


クイックセーブ(カーソル初期位置)クイックロードセーブロード前の選択肢へコンフィグ閉じる
タイトル画面へ戻る   次の選択肢へ  

「前の選択肢へ」の下には「次の選択肢へ」があり、クイックセーブの下には「タイトル画面へ戻る」がある。

「前の選択肢へ」は、即ち

四角 左を3回 丸 丸

の操作で実行でき、後述するワシントンポストの検閲箇所探しのリプレイ等に活用可能。


コンフィグ画面の詳細

コンフィグは上下で移動、左右でパラメータの調整、L/Rボタンでページ切り替え。カーソルは上下循環あり、左右で突き当たる仕様。

Lボタン/Rボタンで切り替えられるページ内容はそれぞれ以下の通り

1ページ目 (初期画面、ゲーム動作全般を設定する)2ページ目 (サウンド設定等を行う)

コンフィグ画面1ページ目

上下循環あり 左右で突き当たる動作、項目は以下の通り

  1. 未読スキップ On Off (誤操作防止のため右側のOffを推奨)
  2. メッセージ表示速度 (右端の最大値を推奨)
  3. 画面更新速度 (通常時) (初期値、あるいは右端の最大値を推奨)
  4. 画面更新速度 (スキップ時) (最大値を推奨)
  5. オートウェイト オートモード待ち時間の設定(視力を用いずプレイする場合、左端の最短を推奨)
  6. オート / スキップ停止設定 イベントCG シーン境界 (ここはチェックボックスのOn/Offとなり、左右循環あり、この行は初期値でチェックがOffとなっている)
  7. オート / スキップ停止設定 アイキャッチ ムービー (ここも1つ上の行と同様チェックボックスのOn/Offとなり、左右循環あり、この行は初期値でチェックがOnとなっており、丸ボタンを押してここのチェックをそれぞれOffとすることでオートモードをスタートボタンで利用可能となる(詳細は後述))
  8. スクリーンセーバーの向こうか on off

コンフィグ画面2ページ目

コンフィグ画面1ページ目よりRボタンでアクセス、項目は以下の通り

  1. BGMボリューム (カーソル初期位置)
  2. 効果音ボリューム
  3. ボイスボリューム (最大値を推奨)
  4. ムービーボリューム
  5. システムボリューム (最大値を推奨)
  6. ボイス=テキスト表示同期 On Off
  7. ボイスカット On Off
  8. オート時ボイス大気 ボイスは待つ 常に待つ 待たない
  9. インストールデータ On Off (PSP版のみ インストール時のみOnが選べる)

オートプレイ有効化の設定

コンフィグ画面内容の変更処理詳細解説に先立ち、ゲーム中スタートボタンで実行可能なオートプレイを有効化する方法について記す。

コンフィグ画面を開いた直後の状態から

  • 丸 と操作する。

ここで丸ボタンを押す場面はチェックボックスになっており、上記はデフォルト状態でオートモード自動停止がOnとなっているものをOffとする動作である。

この変更で、スタートボタンでのオートプレイが可能となる。

引き続きこの変更を保存するため、

罰 しばらくして 丸。

と入力する。

本操作で環境設定が保存される。*10


進行状況のセーブ方法

ゲーム中に

  1. 四角 (メニュー表示)
  2. 右2回
  3. 丸(ここで「セーブ」を選び開く)
  4. 4~5秒程待つ
  5. 丸 (セーブ確認ダイアログ出現)
  6. 3~4秒ほど待つ
  7. 左 丸(ここで)セーブ確認に「はい」を選択 *11
  8. 3秒程待つ (セーブ中)
  9. 丸(セーブ終了通知に再び「OK」を押す)
  10. 罰を2回(ゲーム画面へ戻る)

ワシントンポストの検閲箇所特定パートについて

章の区切りに、ある記者がニューヨークで起こった厄災を現地で取材した様子を記した新聞記事を読む場面が登場する。

このシーンでは、その記事の中から事実を隠匿し記された箇所を探す。

実際の流れは以下の通り。


  1. 足音とともに場面転換、ドアが開かれバグパイプのBGMが再生され、新聞閲覧パートへと到達する
  2. 下 丸(新聞を開く音)
  3. 再び丸(もう一度)紙面を広げる音)
  4. この状態で、今回暴露すべき記事のパラグラフ一覧が縦に並び示される。
    次に、下 丸。ここで、複数あるパラグラフの中から1つ目のものを選択。
  5. ここで左右キーで文章の矛盾点をい複数ある候補から探し、丸を押すことで合否判定となる。
    正解である場合はタイプライターの印字音、間違えた場合は地下世界の月の笑い声が再生される。

上記の手順を2~3回繰り返し、全て正解することを目的とする。


攻略例 ゲーム中1度目の検閲箇所特定パート

下記手順で全て正解の状態で物語を進行可能。


  1. 足音の後、BGMの再生を確認
  2. 下 丸 丸 下 丸
    以上で1つ目のパラグラフを選んだ状態となる。
  3. 次に 左 丸
    ここでタイプライター音、正解となり、記事が本来の内容に変化する演出が行われる。
  4. もう一度丸を押し、パラグラフ選択画面へ移動する。
  5. 下 丸 と操作し次のパラグラフを選択。
  6. ここは 左 左 丸 と選択。タイプライター音で正解判定を確認。
  7. もう一度丸を押し、パラグラフ選択画面へ戻る。
  8. 更に 下 丸 で次のパラグラフを選択。
  9. このパラグラフでは 左 丸と実行。すると、やはりタイプライターの印字音の後、部屋を出る演出の中途にキラキラとした音と共に画面上に絵本が出現する。 その絵本の朗読がエリシアではじまったなら、このパートはクリアとなる。

エンディング到達後のシステムセーブについて

グッドエンド、バッドエンドを問わず、物語が終局へ至ることでその到達をシステムデータへ保存するダイアログが表示される。


  1. PSP版の場合、丸ボタンを数度押しタイトル画面へ戻ることで、システムデータの上書きを実行可能である。*12
  2. Xbox 360版の場合、本体システムソフトウェア標準のセーブ確認ダイアログが出現するため、上 A と入力することでセーブを実行可能。*13

本編クリア後にプレイ可能となるEXシナリオについて

本編クリア後、タイトル画面で 右 下 下 丸 で「EXシナリオ」がプレイ可能となる。 項目は縦に並んでおり、内容は以下の通り

  1. ウイツィロポクトリの紅涙 (カーソル初期位置)
  2. ヒュプノスの魔眼 (『ウイツィロポクトリの紅涙』を読了後アクセス可能)
  3. そして------ (『ヒュプノスの魔眼』を読了後アクセス可能)

ウイツィロポクトリの紅涙

ここはEXシナリオの序盤であり、縦2行、横2列の表となっており、左上端より順に読み進める。章題はそれぞれ以下の通り。

第1章 ウェストバンクーバー第2章 夢の旅路
第3章 夢ある気第4章 ふたりの旅路

なお、上記第4章へ登場するデバイス『気晶式画像表示版(エア・モニター) (現代でのタッチスクリーンに相当)』に表示される内容のみ画面の目視で確認を要するのであるが、開発元ライアーソフトよりWebノベルとして公開されている同内容を読むことでその表示内容の把握が可能である。

また、本Webノベルでは上記EXシナリオと内容の重なる部分があり、結果スクリーンリーダーとWebブラウザで本EXシナリオの地の文、特に音声のない部分が視力を用いずに一切把握可能であることを補記する。*14


「おまけ」について

タイトル画面の「おまけ」の内容について記す。

項目は縦2行横2列、内容は以下の通り。

CG鑑賞シーン鑑賞
音楽鑑賞図書館 *15

総評

重ねて本作の仕様は貴重であるため、視覚障害を問題とせずプレイ可能なアドベンチャーゲームの実例として、場合でモデルケースとさえなり得る要素が含まれる作品である。

上述の通りワシントンポストに施された検閲を曝く場面にあっては、視力を用いず突破が可能である一方、そこは唯一、本作のゲーム本編で音声で読み上げられない部分である。

しかしその要素を考慮しなお、本作に含まれた視力の代用となる要素が、演出としてプレイ体験を充実したものへと至らしめるよう機能する点が特筆される。

一例に、モノローグ、地の文それぞれの音声が独立し演出されており、台詞では環状の激している場面にあってもモノローグは淡々と読み上げられることで醸成される緊張感と空気感は、本作ならではの魅力を現出し、プレイ体験をより鮮烈な物とする効果を生じている。

こうして視覚障害の解決となる仕様が複数実装された本作は、プレイが可能となる状況を演出の洗練で広げ、その広がった幅の中に視覚障害が包含された点がとりわけ特筆されるのである。


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*1 実績をコンプリートした場合のゲーマースコア(MSアカウント全体で取得されるポイント)は1000となる
*2 Xbox 360側で、Windows10版Xboxアプリと同じMicroSoft?アカウントでのログインが必要
*3 Xbox 360版では視力を用いず全ての実績が解除可能なタイトルでもある。
*4 システムデータの作成は初回起動時のみで、その後は自動でオープニングムービーへ遷移する。
*5 Xbox 360版についてはホーム画面よりソフトウェアを本体HDDへインストールしてのプレイが可能
*6 PSP標準システムソフトウェアに実装された効果音による通知あり
*7 PS Vita、ならびにVitaTVの場合、インストールを行うことでディスクイメージとキャッシュファイル双方からデータを読み取る動作となり、結果ストレージへのアクセス回数が増えることでの遅延が生じ、フラグメンテーションの影響を受けるため、インストールを行わないプレイを推奨。
*8 特に本作のバックログは表示中に背景音含む効果音が消えるため、台詞の聞き直しに便利なUIが構築されているといえる
*9 システムサウンドで通知が行われないため注意されたい
*10 Xbox 360版ではこの途中にシステムセーブダイアログが表示される(音情報で把握可能)ので「上 A」を追加入力
*11 この操作は上書きセーブにおいてであり、初回セーブでは上書き確認は行われずすぐにセーブされる。挙動の違いに注意されたい。
*12 グッドエンド到達後システムデータをセーブすることで、タイトルメニューより追加シナリオのプレイが可能となる
*13 効果音でダイアログの出現を把握可能
*14 詳細は本作PC版公式サイトにある「sona_webnovelban」と書かれたリンクの先を参照されたい(物語のネタバレを多く含むため、本作クリア後の閲覧を推奨)
*15 ここでは劇中に登場した新聞や絵本を再読可能

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Last-modified: 2017-12-25 (月) 18:31:00 (2308d)